小児歯科
小児歯科は小さなお子様のための歯科治療です
小さな子供の口内環境は成人とはまったく異なります。成長によって乳歯が永久歯へ生え変わり、顎が大きくなることで歯が動いたりと実に複雑です。また子供はブラッシングが身についておらず充分でないことや乳歯は免疫力が弱いことからむし歯になりやすいという性質があります。そのような特徴を踏まえた上で、そのときの年齢や口内の状態ごとに最善な治療を選択し、口と歯をいつも清潔にして健康を守るのが小児歯科です。
当院ではお子様に怖い思いや治療における苦痛や負担をなるべくかけることなく、楽しく快適に治療を受けてもらえることをモットーとしています。
親御さんがお子様の歯のためにできること
まだ小さいお子様は自分で歯の健康を保つことの意味や大切さを理解していません。そのため親御さんが注意深くなることでお子様の歯と口内の健康は維持することができます。
以下のことにはとくに注意が必要です。
1.むし歯菌を大人から子供へうつさないようにする
むし歯はむし歯菌(ミュータンス菌)によって発症する感染症です。むし歯菌は成人ならほぼ全員の口内に棲息していますが、実は生まれたばかりのときにはお口の中にまだむし歯菌は存在しておらず、幼い頃に外部(主に家族)からうつることで口内に生息するようになります。親子で別々の食器を利用すること、食べ物の口移しをしないことなどでそれを防ぐことができます。
2.糖分を多く含むものを与え過ぎない
むし歯は糖分をエサにしてむし歯菌が酸をつくり、その酸が脱灰作用によって歯を溶かして穴を開けることで発症します。そのことから糖分の摂取を控えることでむし歯になるリスクを減らすことができます。ただ甘くない(甘味のない)と思われている食品でも必ずといっていいほど糖分は含まれているものなので注意が必要です。親子のあいだのルールとして食事の時間やおやつの回数を決めることで糖分の摂取をコントロールしましょう。
3.丁寧なブラッシング
むし歯や歯周病の予防を考えるときに最も効果的なのは家庭でのブラッシング(歯磨き)です。小さなお子様は歯磨きを嫌がりますが、その必要性を根気強く教えていきましょう。
4.フッ素を歯に塗る
生えてきたばかりの歯は成熟していないためまだ弱く、丁寧に磨くことができたとしてもむし歯になりやすいという性質を持ちます。フッ素は再石灰化(歯の自己再生作用)を促すミネラル成分で、それを歯の表面に塗布することで、歯を丈夫なものにできます。今では市販のフッ素入りの歯磨き粉を購入できますが、歯科医院で塗布するものに比べて効果は抑えられているので、充分な効果を手に入れたいなら歯科医院における塗布がおすすめです。
5.仕上げ磨きを行う
小さなお子様は自分の手で行う歯磨きが不充分となるため、親御さんがつい歯磨きの全てを行ってしまいがちです。後々の習慣づけのためになるべくお子様に自分自身で歯磨きを行わせましょう。しかし磨き残しはどうしても出てしまうものなので、仕上げ磨きとして最後に親御さんが口の中を確かめ、磨き残しがあればそれをきれいにしてあげてください。
6.歯科医院による定期的なケア
日頃からどれだけ丁寧なセルフケアを心がけていても、大人でさえ不充分な箇所は出てくるものであり、子供ならなおさらです。それを補うためにも歯科医院を定期的に訪問し、メインテナンスを受けることをおすすめします。乳歯から永久歯への生え変わり、顎の成長、むし歯の進行スピードが速いことなど、お子様の口の中の環境はほんの少しの期間で急激に変わるものです。歯とお口の中を健康な状態に保ち続けるためにも3~6カ月に一度は歯科医院を訪れて検診を受けるようにしましょう。
小児歯科に関して気をつけること
乳歯は成長に伴って永久歯に生え変わるものです。だから悪い状態を放置しても構わないだろう、そう思っている親御さんがいます。しかし乳歯にトラブルを抱えているということはセルフケアのやり方が不充分であったり、生活習慣に乱れがあったりとそこには必ず原因があります。永久歯に生え変わってもその原因が改善されないままなら同じようにむし歯になってしまうでしょう。
また症状が進行したむし歯に対する治療はドリルを用いて削ったり、抜歯をしたりとお子様に大きな負担を与えてしまいます。そういった経験によって歯科医院=歯医者さんに対して恐怖心や苦手意識を一度抱いてしまうとそれは成長したあとも続いてしまいがちです。そうすると、むし歯になっても歯科医院を訪れるのをためらってしまい、症状がさらに進行するという悪いサイクルに陥ってしまいます。
そういう事態を避けるためにもまだ幼い頃から家庭におけるケア、歯科医院での定期的なメンテナンスを行うことでむし歯やその他のトラブルを未然に防ぎ、お子様が歯医者さんに楽しく通えるように親御さんが心がけていきましょう。
子供の虫歯治療のよくあるご質問
- どうして歯を磨かないのに虫歯にならない子がいるの?
- お口の中にいる細菌の種類や数、だ液の量や性質などの違いによって同じお手入れをしていてもむし歯になりやすいお子さん、なりにくいお子さんはいらっしゃいます。ですが、お子さんのお口の中は大人の歯へ生え変わったり、環境は大きく変わっていくので今あまり歯磨きをしなくてもむし歯になっていないからといってお手入れを怠ってしまうと大人の歯への生え変わりでむし歯が急に増えてしまうことがあるのでお手入れをする習慣をつけておくためにも小さいうちからのお手入れは欠かせません。
- 虫歯の検査は学校の歯科検診だけで充分ですか?
- 毎回検診で問題なしとなっているお子さんはもしかしたら充分かもしれませんが、子どもの口の中は大人の歯への生え変わりや成長によって大人に比べて環境の変化が非常に激しいので、できれば特に問題はなくても半年に一度くらいのペースで定期的に歯科医院でチェック等受けられることをお勧めします。
- なぜ定期検診が必要なのですか?
- むし歯で歯がしみたり痛んだりという自覚症状が出るのはある程度進行してからになります。同じむし歯でも自覚症状が出る前の初期のうちに治療ができれば削る量も少なく、コンパクトな治療ですませることができます。また、お子さんのお口の中は大人の歯への生え変わりなどで環境が大きく変わる時期なので毎日のお手入れでも注意すべきところが変わっていきます。お口の変化に合わせてお手入れのアドバイスなどもさせていただきます。
- 歯磨き粉は大人のものと同じで大丈夫ですか?
- 基本的には大人のものでも構いません。お子さんの年齢によっては味がからいと感じることもあるのでその場合は子供用の歯磨き粉をお勧めします。
また、最近大人の歯磨き粉に含まれるフッ素の量の規則が変わり、1000ppmから1500ppmに変わりました。1000ppm以上の歯磨き粉は6歳以上となっているのでそこにも注意が必要です。
- 歯磨きの仕方を教えてください
- 歯ブラシの持ち方や歯への当て方など基本的な部分は共通ですが、一人一人の歯並びや大人の歯への生え変わりの状態などによって最適な歯磨きの仕方は変わってきます。お口の中を見させていただき、最適な歯磨きの仕方をご説明いたします。